中東情勢の緊張による観光需要の落ち込みを背景に、ドバイの高級ホテルが改修工事のタイミングを今夏に集中させている。ブルジュ・アル・アラブをはじめとする6つの主要ホテルが相次いで一時休業・改修に入っており、ドバイのホスピタリティ業界が転換期を迎えている。

通常、ドバイのホテルは観光客が減る夏季に改修工事を実施することが多い。しかし2026年は、2月末から続いた地域情勢の緊張によりホテル稼働率が一時大幅に低下したことも重なり、例年を上回る規模の改修ラッシュとなっている。業界関係者は、今回の閉鎖ラッシュは停戦後の観光回復に向けた戦略的な投資と位置づけている。

閉鎖・改修中のホテル一覧

ブルジュ・アル・アラブ(Burj Al Arab) は1999年の開業以来初めての大規模改修のため閉鎖中だ。18か月にわたるプロジェクトをパリを拠点とするインテリア建築家のトリスタン・オーエル(Tristan Auer)氏が主導し、ダウ船の帆をかたどった象徴的なシルエットは保存しながら内装を刷新する。再開時期は未定で、「準備が整ったときに開業する」としている。

アルマーニ・ホテル・ドバイ(Armani Hotel Dubai) はブルジュ・ハリファ内39フロアにまたがる世界初のアルマーニブランドのホテルで、4月1日から全面閉鎖に入った。部分的な改修ではなく「完全なリブランド変革」と説明しており、客室・レストラン・パブリックエリアすべてが刷新される。予約サイトでは2027年1月4日以降のみ受付となっており、事実上2026年末〜2027年初の再開が見込まれる。なお、ブルジュ・ハリファ内のアットザトップ展望台やレストランなど他施設への影響はない。

パーク・ハイアット・ドバイ(Park Hyatt Dubai) はドバイ・クリーク沿いに位置する老舗ラグジュアリーホテルで、5月から閉鎖予定だ。2005年の開業から20年以上が経過しており、長期改修プロジェクトの最終フェーズとして一時休業する。年内の再開を目指しているとしており、予約済みの顧客にはドバイ国内の他のハイアット系列ホテルへの振り替えが案内されている。

セント・レジス・ザ・パーム(St. Regis The Palm) はパーム・ジュメイラのパーム・タワー内に位置し、4月12日から客室を閉鎖して改修を実施中だ。ロビーラウンジとセント・レジス・バーは引き続き営業しており、8月31日の客室再開を目指している。

アナンタラ・ワールドアイランズ・ドバイ・リゾート(Anantara World Islands Dubai Resort) は4月10日に全館営業を停止した。ドバイ・ワールドアイランズ(世界地図を模した人工島群)に位置する同リゾートは2021年の開業以来、独自の島リゾート体験を提供してきた。運営会社のマイナー・ホテルズ(Minor Hotels)は「複数の外部要因が重なった結果」と説明しており、恒久的な閉鎖となる可能性も示唆されている。

ラディソン・ブルー・ホテル・ドバイ・メディアシティ(Radisson Blu Hotel Dubai Media City) は4月30日に閉鎖予定で、AED2億以上という同エリア最高額の取引でセレクト・グループ(Select Group)に買収された後の大規模改修となる。宴会・ケータリングサービスは年末まで継続するが、2027年には別のブランドで再開する見通しだ。

一部施設は営業継続

アトランティス・ザ・パーム(Atlantis The Palm)とアトランティス・ザ・ロイヤル(Atlantis The Royal)はホテル自体の営業を継続しているが、ハッカサン(Hakkasan)やオッシアーノ(Ossiano)など人気レストラン7か所を一時休止してメニューの見直しと施設改修を実施中だ。JWマリオット・マーキス・ドバイ(JW Marriott Marquis Hotel Dubai)は2棟のうち1棟を稼働させながら段階的な改修を進めており、主要レストランやサライ・スパは引き続き利用できる。

©︎ The National / Khaleej Times / Gulf News