UAEで2026年に始まる6つの新ルール──生活・環境・ビジネスが大きく変わる1年に

UAEでは2026年、健康促進、環境保護、税務制度の効率化、デジタルセキュリティ強化など、生活者と企業の双方に影響する6つの重要な新制度が段階的に導入されます。

砂糖入り飲料への新・段階的課税(2026年1月1日)
2026年1月1日から、砂糖入り飲料への課税は従来の一律50%から「糖分量に応じた段階制」へ移行します。砂糖量の多い飲料は高税率、低糖商品は低税率となり、GCC統一モデルへの整合性向上とともに、企業の砂糖削減努力や消費者の健康的な選択を促します。

使い捨てプラスチック全面禁止(2026年1月1日)
単一使用プラスチックの全面禁止が開始され、カップ、蓋、カトラリー、食品容器、皿などが対象となります。2024年のレジ袋禁止、2025年の発泡スチロール規制に続く措置で、企業や飲食店は再利用可能素材への切り替えが必須となります。生活者にとっても、持ち帰り容器の仕様や追加料金など、日常の選択に変化が生じる可能性があります。

VAT法改正で手続きが簡素化(2026年1月1日)
改正VAT法が2026年1月1日に施行され、逆課税方式における自社発行インボイスが不要となります。これにより、契約書や請求書など通常の証憑管理で対応でき、企業の事務負担が軽減します。また、還付請求には新たに5年間の期限が設定され、長期未処理案件の解消と税務リスク低減につながります。

銀行のSMS/メールOTP廃止(2026年3月まで)
金融セキュリティ強化の一環として、2026年3月までにSMS・メールによるOTPが完全廃止され、銀行アプリ内での認証方式へ順次切り替えが行われます。これにより、SIMスワップやフィッシング被害の抑制が期待され、国内外送金を含む取引の安全性が一段と向上します。

インフルエンサー向け「Advertiser(Mu’lin)Permit」義務化(2026年1月31日締切)
コンテンツクリエイターやインフルエンサーは、広告・レビュー・商品紹介を行うすべてのアカウントで「Advertiser(Mu’lin) Permit」の取得が義務化され、申請期限は2026年1月31日まで延長されました。無償での投稿も対象となり、規制の透明性向上や消費者保護の強化を目的としています。許可は1年間有効で、初回3年間は無償提供される点はクリエイターにとって大きな支援となります。

電子インボイス制度(e-Invoicing)導入(2026年7月1日〜)
2026年7月1日から電子インボイス制度が一部企業で開始され、B2BおよびB2G取引における請求書の電子発行・交換・保存が義務化されます。段階的導入により、請求処理の高速化、エラー削減、コスト削減、さらに財務・税務の透明性向上が見込まれ、企業活動のデジタル化が一層進むことが期待されます。

これら6つの新制度は、UAEの健康志向、環境政策、ビジネス効率化、デジタル社会の安全強化を同時に推進する、重要な改革となります。

©︎Gulf News

\ この記事を書いた人 /

ジェボンズ・華
ロンドン生まれ、福岡育ちの日英バイリンガル。国際大学・APUで学び、卒業後は在クロアチア日本大使館に勤務。その後、日本テレビロンドン支局で報道プロデューサーとして国際ニュースの取材・制作に携わる。2024年よりドバイに拠点を移し、メディア制作および生活・移住支援サービスを提供している。

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