まずはじめに、ドバイの現地情勢は依然として流動的な状況が続いています。ドバイを含むUAEにいらっしゃる皆様におかれましては、最新情報の確認と安全確保を最優先にご対応ください。
現在の状況をふまえ、ドバイ在住者や日本にいるご家族、お知り合いの方など、少なからず緊張を感じている方も少なく無いと思います。海外で暮らすということは日本とは異なる環境の中で生活するということです。現在の状況は日本で生活しているとあまりにも非現実的ですが、このような事態が日常的な国があるのも事実です。
パンデミック時に海外にいた方はイメージがつきやすいかもしれませんが、海外で暮らす上では「すぐに帰国できない」「言語や制度の違いによって状況がわかりにくい」そんな場面も出てきます。だからこそ、日本での災害対策と同様に、普段から情報を得るようにして備えることが大事です。
この記事では、ドバイ生活に関連する機関の説明や、緊急時の連絡先リストなどを掲載していますのでぜひご活用ください。

AYA
元エミレーツ航空CA。大学卒業後、PCサプライメーカーの営業職に就職。その後オーストラリアへワーホリ、フィリピン英語留学を経てエミレーツ航空CAへと転職。ドバイを拠点に世界中を飛び回る生活を7年、訪れた国は80カ国以上。現在は、生活情報の発信などを行っている。
ドバイって実は「すごく備えている街」
UAE(アラブ首長国連邦)は7つの首長国からなる連邦国家で、国家レベルと各首長国レベルの二層構造で行政が機能しています。特に安全保障や大規模危機対応については、明確な指揮命令系統が存在します。ここでは、UAEの意思決定の仕組みを簡単にご説明します。
国 → ドバイまでの指揮の流れ
【方針決定】国家レベル
国家安全保障最高評議会(Supreme Council for National Security)
軍事・外交・国家安全保障の基本方針を決定する最高意思決定機関。大規模危機時の戦略判断を行います。
【調整】国家レベル
NCEMA(National Emergency Crisis and Disaster Management Authority)
国家危機・緊急事態・災害管理庁。各省庁・各首長国との調整役を担う中枢機関で、災害対応計画の策定、警報発出、訓練実施を行います。パンデミック時にも中心的役割を果たしました。
【実行】国家レベル
内務省(Ministry of Interior)・国防省(Ministry of Defence)ほか各省庁
警察、民間防衛(消防)、国軍の統括や、医療・交通・インフラの管理を担当。
【ドバイ対応】首長国レベル
ドバイ危機・災害管理最高委員会(Supreme Committee of Crisis and Disaster Management in Dubai)
2020年に設立されたドバイ独自の危機管理統括機関。国家方針を受け、ドバイ内での具体的措置を決定します。
【ドバイ対応】現場レベル
ドバイ警察、消防、病院、交通機関が実働部隊として対応します。
ドバイ生活で関わる主要機関
🚔 ドバイ警察(Dubai Police)
緊急:999
非緊急相談:901
- 治安維持、犯罪捜査、テロ対策
- 交通事故対応
- 大型イベント警備
- 公式アプリで通報・相談可能
世界的にもIT化が進んだ警察組織として知られ、スマートパトロールやAI監視システムを導入しています。
🚒 ドバイ民間防衛(Dubai Civil Defence)
緊急:997
- 火災対応
- ガス漏れ
- 建物事故
- 防火検査
いわゆる「消防」です。高層ビルが林立するドバイでは極めて重要な役割を担っています。
🏥 DHA:ドバイ保健局(Dubai Health Authority)
救急:998
- 公立病院の統括
- 救急医療体制管理
- 感染症対策
パンデミック時には医療リソースを一元管理しました。
🚌 RTA:道路交通庁(Roads and Transport Authority)
道路関連緊急:800-9090
- 道路封鎖
- 公共交通運行調整
- 避難輸送計画
緊急時のメトロ・バスの運行調整も行います。
⚡ DEWA(Dubai Electricity and Water Authority)
停電・断水:991
- 電力供給
- 水道供給
- 重要施設への優先供給
ドバイ電子セキュリティセンター(DESC)
Dubai Electronic Security Center
現在はDubai Digital Authority傘下で、政府機関のサイバーセキュリティを統括。サイバー攻撃対策を担います。
情報の取り方:何をいつ見るか
有事の際に大切なのは「正しい情報を、正しい場所から取る」ことです。SNSのデマや不確かな情報に流されず、公式ソースを見る習慣をつけておきましょう。英語が苦手な方も、日本語のSNSやまとめサイトを見るのではなく、日本の公的機関やドバイの公的機関を翻訳して見るようにすることをオススメします。
平時(今すぐ登録可)
- たびレジ登録
- 総領事館サイトをブックマーク
- Dubai Police アプリ導入
- Dubai Civil Defence アプリ導入
- NCEMAアプリ導入
情勢悪化時(毎日チェック)
- 外務省 危険情報の変化確認
- 総領事館メール・お知らせ
- Dubai Media Office の発表
- ドバイ警察 公式SNS
緊急時(最優先で確認)
- 在ドバイ日本総領事館へ連絡
- 退避勧告レベルの確認
- フライト・空港状況の確認
- NCEMA警報確認
Dubai Policeアプリは交通状況の把握や罰金の支払い、事故のレポートなどができ普段から利用できます。
情報収集サイト
| サイト・機関名 | 何がわかるか |
|---|---|
| 外務省 海外安全ホームページ(UAE) | 危険レベル・渡航注意事項・テロ・周辺情勢の解説 |
| 在ドバイ日本国総領事館 | 緊急連絡先・安全情報・在留届・たびレジ登録 |
| NCEMA公式サイト | 国家レベルの警報・災害報・危機管理情報 |
| Dubai Media Office | ドバイ危機委員会の決定・外出制限・イベント制限 |
| ドバイ警察 | 道路封鎖・事件情報・警備強化アナウンス |
| ドバイ空港(DXB)運航情報 | フライトの欠航・遅延・空港閉鎖情報 |
各機関のSNSオフィシャルアカウントがわかりやすくお手軽に情報収集できるのでオススメです。
緊急時はSNSにデマやAI生成動画が多く流れます。「〇〇が爆発した」「空港が閉まった」などの情報は、必ず上記の公式ソースで確認してから行動しましょう。
緊急連絡先まとめ
🇯🇵 日本側(在外公館)
| 機関名 | 連絡先 | 用途 |
|---|---|---|
| 在ドバイ日本国総領事館 | +971-4-205-5627 ryouji@du.mofa.go.jp | 安全情報・パスポート・退避相談など |
| 在アラブ首長国連邦(アブダビ)日本大使館 | +971-2-443-5696 embjpn@ab.mofa.go.jp | 緊急時・領事業務全般 |
| 外務省 海外邦人安全課(日本) | +81-3-3580-3311 | 日本から家族が状況を問い合わせる |
「たびレジ」に登録しておくと、外務省から安全情報・緊急連絡がメールで届きます。在留届の提出と合わせて登録しておきましょう。緊急時に連絡が届き、邦人保護の対象になります。
🇦🇪 UAE・ドバイ側(緊急番号)
| 機関名 | 番号 | 用途 |
|---|---|---|
| 警察(緊急) | 999 | 犯罪・テロ・不審者など治安関連 |
| 救急(アンビュランス) | 998 | 急病・ケガ・医療緊急 |
| 消防・民間防衛 | 997 | 火災・ガス漏れ・建物事故 |
| 道路緊急(RTA) | 800-9090 | 交通事故・道路トラブル |
| 電力・水道(DEWA) | 991 | 停電・断水 |
| Dubai Police 非緊急相談 | 901 | 緊急でない問い合わせ・情報提供 |
家族での備え方
自分たちのルールの「見える化」だけで、いざという時の行動速度は大きく変わります。この機会に確認してみてはいかがでしょうか。
連絡
- LINE
- 通常の携帯電話回線
優先を決め、少なくとも2つ以上の連絡手段を共有しておくことが理想です。さらに、
「連絡が取れなかったら30分後に再送」
「2時間連絡が取れなければ集合場所へ向かう」
など具体的な行動ルールを決めておくとさらに安心かもしれません。
持ち物
- パスポート
- エミレーツID(在留身分証)
- 現金(少額でも)
- クレジットカード
- 常備薬・簡易医薬品
- モバイルバッテリー
- 充電ケーブル
- 重要書類のコピー
など。外国にいるからこそパスポートはとても重要なものになります。
有事の影響
観光客支援
中東地域の空域一時閉鎖および航空便大幅キャンセルにより、ドバイやアブダビの空港で約2万人以上の旅行者が足止めされる事態が発生しました。この状況を受け、UAE政府は滞在ホテル費用・食費などを全額負担する緊急支援措置を発表しています。多くの旅行者がチェックアウト後も出国できない状況となったため、宿泊延長や食事代の負担をUAE当局がカバーし、ホテル側には宿泊費請求の手続きを進めるよう指示が出されています。航空券の再予約や返金対応も関係当局・ケースごとに調整中です。
UAE主要航空会社の対応
ドバイ国際空港を拠点とするエミレーツ航空は、平常時は世界150以上の都市へ就航していますが、今回の空域閉鎖を受けて定期便の大部分が一時運航停止・欠航となりました。現在ドバイ発着便は安全が確認され次第、徐々に限定的な運航や救援・帰国支援フライトが再開されはじめています。
同様に、アブダビを拠点とするエティハド航空やflydubaiなどUAEの主要航空会社も、状況を見ながら安全確保を優先しつつ柔軟な再予約・返金対応・運行再開を実施しています。旅行者は各航空会社の公式案内や予約管理画面をこまめに確認し、不要な空港への移動は避けるようにしましょう。
さいごに
ドバイは高度な危機管理体制を持つ都市で、毎回その意思決定の速さや実行力に驚かされます。何が起きても、正解がない中でその時その状況での最善を常に尽くしている国だからこそ、安心や信頼、コントロール力もあるのだと感じます。
観光客支援に関しても、単に「財政的に余裕があるから支援する」という姿勢ではなく、足止めされた旅行者の不安や混乱に寄り添う姿勢が感じられる対応といえるでしょう。国際都市として多様な国籍・背景を持つ人々を受け入れてきたUAEだからこそ、人を第一に考えた迅速な判断がなされた点は、国の成熟度を示す出来事でもあります。
最善を追求するからこそ、公式から情報を得たばかりでも「数時間後には法律が変わっている」ということも多いです。これは日本では起こりにくく慣れない点です。だからこそ、平時からの情報確認が重要なのです。
どの国でも100%の安全はありません。最も大切なのは個人が「正しい情報を知り、冷静に行動すること」です。不安を感じたら、まずは総領事館や公式機関に問い合わせてみましょう。
生活の安全に関わることは、遠慮せず確認する姿勢が大切です。備えは安心につながります。この機会に、改めて日常を顧みて「いざという時に慌てないための平時の準備」を考え直すきっかけになれば幸いです。

