
AYA
元エミレーツ航空CA。大学卒業後、PCサプライメーカーの営業職に就職。その後オーストラリアへワーホリ、フィリピン英語留学を経てエミレーツ航空CAへと転職。ドバイを拠点に世界中を飛び回る生活を7年、訪れた国は80カ国以上。現在は、生活情報の発信などを行っている。
アラブ首長国連邦(UAE)の中心都市・ドバイは、その華やかさや治安の良さ、税金の優遇だけでなく、多国籍な環境から子どものための教育移住など、日本人の移住先としても年々人気が高まっています。しかし、どんな国にも“光と影”はあるもの。実際に住んでみて初めて気づく「不便さ」や「生活のギャップ」も少なくありません。
この記事では、ドバイ歴7年の筆者が、リアルな体験をもとに「ドバイ生活のデメリット」を正直にお伝えします。これから移住を検討されている方にとって、良い面だけでなくネガティブな面も事前に知っておくことはとても大切です。
1. 日中の気温が異常に高い
ドバイの気候は砂漠気候に分類され、5月から9月頃までは「酷暑」と言っても過言ではない暑さが続きます。特に7月〜9月は最高気温が連日45度を超えることもあり、外を少し歩くだけでも汗が止まりません。日が落ちでも湿度はあるので暑いです。
外に出ることがない数ヶ月
ただただ暑いです。日本で言う猛暑日でも35度前後が一般的ですが、ドバイの暑さは湿度も加わって体感的にはそれ以上。さらに、空が広く明るく見え、砂やビルからの照り返しも強くサングラスが必須です。
ただ正直なところ、私も含めドバイに住む日本人が夏に一時帰国すると声を揃えて「東京や大阪の夏の方が暑い」と言います。そもそもドバイは生活で「外を歩く」「駅を移動する」などが少なく、基本的には全て屋内や専用道路、また車移動など全てが暑さ対策をした設計がなされています。対して日本はそのような対策はされていませんので真夏でも外を歩きますし、特に東京や大阪はビルの室外機などの熱風も加わり本当に暑く感じます。
住んでいるうちに体も順応し暑さにも慣れてくるので、しばらくすると「暑い」なんて言っているドバイ在住者は少ないように感じます(笑)

私は真夏の8月でも日没後に公園でウォーキングをしたりテニスをしていました。(もちろん暑いのでサウナ級の汗をかきますが、慣れってすごい!)
夏の間は不便なように感じますが、どの住居にも大体はジムがついていますので体を動かしたい方はジムやインドアのスポーツクラブへ行き、移動も自家用車やタクシーが主流、買い物もオンラインでできる、といったように暑いドバイで快適に過ごせるようなインフラは整っています。
「冬」が最高
暑さは、ファミリー世帯にとっては子どもとの公園遊びや屋外レジャーの制限が大きな悩みになります。日中に屋外で遊べるのは10月〜3月。それ以外の季節は、屋内施設(モール、公園、プレイグラウンド)があり、どの施設もとても充実しています。ジム同様、プレイグラウンドもレジデンス内に併設していることが多いので小さなお子様がいても安心です。
そして冬になると、10〜3月の冬限定イベントが開催されたり、街中がとても賑やかになります。日本でいう春や秋の気候なので本当に過ごしやすく、テラスで食事をしたり、ビーチを散歩、砂漠でBBQ、外でゴルフやテニス、サッカーなどスポーツも最高の季節です。
2. 外食費が高い
ドバイは物価が高いことで知られていますが、スーパーや生活日用品に関しては、東京とさほど変わらないことが多いです。物によって安かったり高かったり。ただドバイでの外食費の高さは特に移住後にギャップを感じやすいポイントです。ファストフードですら、日本の感覚と比べると割高に感じることも多々あります。
日本食=高級グルメ
例えば、ドバイで人気のある日本食レストランでは、ラーメン一杯が50〜70ディルハム(約2,000〜2,800円)というのが相場(※1AED ≒ 40円換算)。日本で800円前後で食べられるラーメンが、約2倍〜3倍の価格になるのは珍しくありません。
お寿司や焼き鳥、和牛を使った料理などはさらに高額で、日本のクオリティのものを食べようと思うと在住日本人にとっても「贅沢品」という位置づけです。
多国籍ならではの楽しみ方
日本食は高級品扱いですが、意外とお手頃に食べられておいしいご飯もあります。地元のアラブ系や南アジア系のレストランを選べばコストも抑えられます。中でも、シャワルマといったチキンなどが入ったラップや、ビリヤニ、また韓国料理や火鍋も本場の味が楽しめます。スーパーのデリコーナーに行くと欧米のお惣菜も並んでいて、オリーブやチーズを使った地中海風サラダなども手に入ります。



外食も各国の料理を楽しめ、価格帯の幅も広く選択肢が豊富です。ぜひ色々試してみて好みのお店を見つけてみてください。
日本人に人気の火鍋やさんは「nine square」というお店
3. 車なし生活は厳しい
ドバイは車社会です。移動手段の中心は自家用車かタクシー(配車アプリ含む)で、東京のように電車や徒歩でどこでも行ける都市とは大きく異なります。
「メトロがあるから大丈夫」は本当?
ドバイには「ドバイメトロ」と呼ばれる電車網があります。確かにとても清潔、安全ですが、駅の数が少なく、ドバイ全体を網羅できていないのが実情です。また、駅から目的地までの移動に徒歩15分以上かかることもあり、炎天下での移動は現実的ではありません。車を運転しない方でメトロを使う方は、メトロで最寄り駅まで行き、そこからタクシー移動する、というのがよくあるパターンです。
タクシーか自家用車で安心
特にファミリー層は、週末のまとめ買いや子どもの送迎などで車がないと生活が立ち行かないと感じることがあるかもしれません。日本のように「徒歩10分圏内にスーパーがある」といった都市設計ではないため、駐車場付きの大型スーパーやモールに車で行くのが前提の生活になります。ミニマートはそこらじゅうにありちょっとした物を買うには十分ですが、品揃えのあるスーパーに行きたい場合はやはり車が便利です。
4. 自然が少ない
ドバイは都市開発が急速に進み、近未来的な高層ビルやショッピングモールが立ち並ぶ反面、自然に触れる機会が極端に少ないという側面があります。 砂漠とビルの中で恋しくなるのが「緑」です。
木陰のない街路、公園の少なさ
街中を歩くと、ほとんどのエリアで木陰や緑の芝生が見当たらず、建物とアスファルトに囲まれた景色が続きます。人工緑地公園が整備された住宅地もありますが、日本のような自然豊かな公園や四季の変化を感じる森の風景はありません。ヤシの木が並ぶビーチ沿いを歩くのも良いですが、緑や土の匂いも恋しくなりますね。
実は砂漠だけではない
ドバイ市街地から車で15〜20分行くと砂漠が広がりますが、1時間ほど行くと岩山が現れます。またWadiと言う渓谷など、緑ではないですが自然はたくさんあるのです。軽くトレッキングをして朝日や夕日を見に行ったり、水辺でカヌーをして遊んだり、といったことも実は可能です。Hattaと言うエリアやRas Al KhaimahにあるJabel Jaisは有名です。



またドバイから飛行機で2時間弱で物価の安い中央アジアや、5〜6時間でヨーロッパや東南アジアにも行けるので、週末や連休で旅行に行く方もとても多いです。自然を感じる旅行としてオススメはジョージアです。ドバイからのオススメ旅行先の記事もぜひご参照ください。
まとめ
ドバイは高級リゾートのような生活ができる夢の都市と思われがちですが、実際に住むとなると不便や違和感を感じる場面も多々あります。今回ご紹介したデメリットも、移住前にはしっかりと理解しておくべきポイントです。
とはいえ
- 暑さに備えて屋内アクティビティを充実させる
- 自炊やオンラインサービスを活用して日本食を楽しむ
- 中古車購入やカーシェアを検討する
- 自然を感じる短期旅行を定期的に計画する
など、工夫次第でより快適なドバイ生活を実現できます。良い面も悪い面も含めて、「自分に合う生活スタイルかどうか」を見極めることが、後悔しない移住への第一歩です。
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