ドバイへの移住や長期滞在を検討する際、関心事の一つが医療環境です。異国の地で病気や怪我をした場合に適切な医療が安心して受けられるのか、日本語が通じるか、医療費はいくらかかるのか。こうした疑問は誰もが抱くと思います。
ドバイは世界でも医療水準が高く、国際色豊かな医師や看護師が従事しています。UAE政府は過去20年にわたって医療インフラへの大規模な投資を続けており、ドバイは中東地域における医療ハブとしての地位を確立しています。世界保健機関(WHO)の評価でも、UAEの医療システムは中東地域でトップクラスと認められています。ドバイで15年以上勤務した看護師を対象に、医療サービス向上への貢献を評価してゴールデンビザが付与されると発表もありました。
そんなドバイで安心して生活するために、本記事ではドバイの医療制度の仕組み・日本語対応病院・保険・利用方法などを解説していきます。
はじめに
ドバイでは医療保険への加入は義務
ドバイで生活する上で知っておくべき重要なルールがあります。それは、全ての居住者は医療保険に加入しなければならないということです。そもそも医療保険がないとビザの取得や更新もできません。
| 対象者 | 保険加入方法 |
|---|---|
| 会社員の場合 | 雇用主が保険料を負担してくれる(通常)ビザ申請時に保険加入が必須家族(配偶者・子供)の保険も会社が負担してくれることが多い |
| 自営業・投資家ビザの場合 | 自分で民間保険会社を選んで加入年間保険料は自己負担プランは自由に選択可能 |
保険でカバーされる例
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一般外来受診
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入院・手術
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出産・産科ケア
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小児医療
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緊急救急搬送
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海外医療搬送オプション
ドバイに移住される方の中には、選択プランやオプションの多様さを理由に民間医療保険に加入している方が多くいます。どこの保険会社が良いか、どんなプランが良いか知りたい方はいつでもこちらからご相談くださいね。
デジタル化
ドバイの医療機関は、問診票や処方箋をその場で携帯にメールで送信したり病院のアプリで対応することも多いです。
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オンライン予約が主流(スマホアプリで簡単予約)
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電子カルテで情報管理(紙のカルテは少ない)
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電子処方箋で薬局での受け取りもスムーズ
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オンライン診療も可能(軽い症状なら自宅から受診)
ドバイの医療制度の基本
ドバイの医療機関は大きく分けて公立病院と私立病院の二つに分類されます。 これは制度上の区分であり、医療の質という点では私立病院も公立病院も遜色ありません。私立病院の多くは最新の医療設備を備え、国際的な医療認証を取得しているケースが多いです。
ドバイ医療制度の特徴
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公立医療機関
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政府関係者・UAE国籍者が中心で医療費は低額〜無料
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一部の在留外国人は対象外のケースあり
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私立(民間)医療機関
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外国人(私たち日本人)が主に利用するのはこちら
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最新の医療設備が充実
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英語が通じる(多言語対応も充実)
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JCI(国際医療機関認証)を持つ病院が多数
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先進医療・専門治療も可能
病院に行くときの流れ
「ドバイで病院に行く」と聞くと、「どうやって予約するの?」「何を持っていけばいい?」「英語で症状を説明できるかな…」と不安になりますよね。でも大丈夫です。流れを知っておけば、思ったよりスムーズです。
持ち物
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パスポートまたはエミレーツID(コピーではなく原本)
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保険カード(写真をスマホに保存しておくと安心)
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過去の医療記録(服用中の薬のリストなども)
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クレジットカードまたは現金(ほとんどの病院はカード可)
受診のステップ
- 予約
- 電話予約
病院に直接電話
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英語で対応(「アポイントメント、プリーズ」で通じます)
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名前、連絡先、症状を伝える
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オンライン予約(おすすめ!)
病院の公式ウェブサイトから
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24時間いつでも予約可能
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日時を自分で選べる
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英語が苦手でも大丈夫
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アプリ予約(一番簡単!)
病院の専用アプリをダウンロード
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スマホで数タップで予約完了
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過去の診察記録も見られる
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リマインダー通知も来る
- 受診
受付(Registration)をします。エミレーツIDと保険カードを提示し、初診の場合は個人情報の登録や簡単な問診票を記入(英語)
- 保険の確認
受付スタッフが保険会社に連絡して適用範囲を確認し、自己負担額を教えてくれます。問題なければ診察へ。
- 診察(Consultation)
重要なことはメモを取り、分からないことは必ず質問しましょう。英語が不安な方は、症状を英語でメモしておく、翻訳アプリを使うなどで準備しておくと安心です。
- 処方箋(Prescription)
薬が必要な場合は医師が処方箋を発行します。スマホに送られることもあります。薬は薬局で受け取ります。院内薬局がある場合はその場で薬を受け取れます。外部の薬局を利用する場合は、Life Pharmacy、Boots、Aster Pharmacyなどが大手薬局です。
- お会計
会計カウンターへいき、保険適用後の自己負担分を支払います。保険会社への請求に必要な場合もあるので領収書を必ずもらいましょう。
保険の使い方(支払い時)
保険に入っていても使い方を知らないと困ることがあります。基本的には次のような流れです。
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保険カードを持参
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受付で提示
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病院が保険会社に確認: その場で適用可否を確認
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Direct Billing: 多くの病院では病院が直接保険会社に請求
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自己負担分のみ支払い: 患者は自己負担分だけ支払えばOK
高額な手術や入院、専門的な治療など、事前に保険会社の承認(Pre-authorization)が必要な場合もあります。病院のスタッフが手続きしてくれることが多いですが、念のため確認しましょう。また受診内容や病院によっては全額建て替えて後日補填の場合もあります。
日本人におすすめの病院はどこ?
一番気になるのは「日本語が通じるか」「日本人でも安心して利用できるか」ですよね。ドバイには日本語対応が可能な医療機関や、日本人コミュニティで評判の良い病院がいくつかあります。
日本語対応の医療機関はあるの?
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日本人スタッフが常駐
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日本語通訳サービスを提供
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電話通訳システムで日本語対応可能な施設
など、施設によって異なります。
日本人スタッフの病院
さくらクリニック(SAKURA Medical and Dental Clinic) ドバイ・ヘルスケアシティにある日系医科・歯科クリニック
- 受付時間:9:00~18:00(電話受付は日本語対応可能)
- 休診日:木曜日午後、金曜日、祝日)
実は日本と変わらない安心感の医療がドバイでちゃんと受けられます。英語が不安な方やお子様がいる方には、特にありがたいサポートですよね。 日本人医師・看護師・スタッフが在籍しているので、診察中の説明も、検査も、薬の相談もすべて日本語対応可能です。言語に限らず、治療の進め方なども日本人に合わせた内容ですので安心です。

日本人に人気の総合病院
アメリカン・ホスピタル・ドバイ(American Hospital Dubai) ドバイでも老舗の大きな私立病院の一つで、ドバイ内でも様々な地域にあります。すべての主要診療科を完備し、24時間365日対応です。
メディクリニック・シティ・ホスピタル(Mediclinic City Hospital) 医療専門地区であるドバイ・ヘルスケア・シティ内にある大規模総合病院です。最新医療機器が充実し、アジア人患者も多く、文化的配慮もある印象です。
キングス・カレッジ・ホスピタル・ドバイ(King’s College Hospital Dubai) イギリスの名門病院の分院として2016年に開院した、比較的新しい英国式の病院です。小児科の評判が良いですが、家族全員で通える総合病院です。
病院選びのポイント
医療機関を選ぶときは、以下を確認しましょう。
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自宅や職場からの距離: 緊急時にすぐ行ける場所か
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保険の適用: 加入している保険でその病院が使えるか
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診療科: 必要な専門医がいるか
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評判: 日本人コミュニティでの口コミ
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言語対応: 英語または日本語でコミュニケーションできるか
一度定期検診や健康診断などで受診してみて、雰囲気やスタッフの対応を確認しておくと、いざという時に安心です。
日本との違いと知っておくべき注意点
ドバイの医療は高品質ですが、日本とはいくつか違う点があります。この違いを知っておくと、スムーズに医療サービスを利用できますし、不安も減ります。
医療費が病院によって違う
日本の場合:全国どこでも医療費は同じで、3割負担などの明確な仕組みで価格が分かりやすいです。
ドバイの場合:病院ごとに価格が違うので、同じ治療でも病院によって費用が2倍違うこともあります。
したがって、高額な治療や手術の前は複数の病院から見積もり(Quotation)を取ったり、保険会社に相談し、価格を比較してから決めるのが良いでしょう。
医師が変わりやすい
日本はかかりつけ医を持つ文化がああり、長年同じ先生に診てもらうことも多いです。一方ドバイの場合は、多国籍都市がゆえ、医師の入れ替わりが比較的多いです。長期的に同じ医師に診てもらえるとは限らない点注意しましょう。また担当医師がクリスマスなど長期ホリデーで母国に帰ってしまうなんてこともあります。
新しい医師に過去の治療歴を伝えられるよう医療記録をしっかり自分で保管したり、また信頼できる医師が見つかったらその先生を指名予約することをオススメします。医師のレベルも差があるので、評判などを確認するのも重要です。
専門医への紹介状システム
日本の場合:紹介状なしでも大病院を受診できる(別途料金はかかる)
ドバイの場合:
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専門医を受診するには、まず家庭医(GP:General Practitioner)に診てもらう
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GPから専門医への紹介状(Referral Letter)が必要
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紹介状なしで専門医を受診すると保険が効かないこともあるので注意
例外として、緊急時は直接専門医や救急を受診OKですし、保険プランによっては紹介状不要の場合もあります。
健康診断は自分で申し込む
日本:会社や自治体が健康診断を提供してくれて、年1回の定期健診が一般的です。
ドバイ:基本的には自分で申し込んで受診します。会社によっては提供することもありますが、定期健診制度はありません。
渡航前にやっておくと安心
いざ引っ越すとなると、しばらく日本に戻らない。そう考えると不安になる方もいらっしゃるかもしれません。できるだけ安心できるよう、渡航前にできる準備をまとめました。
薬を持参
ドバイの薬局は充実していますが、日本人には飲みにくい場合や強い場合もあるので、市販のものを常備しておくと安心です。
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風邪薬
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胃腸薬
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下痢止め
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痛み止め
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目薬
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湿布
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酔い止め
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マスク
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漢方薬
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子供用解熱剤・風邪薬・虫除けスプレー
注意が必要な薬
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向精神薬
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睡眠薬、睡眠導入剤
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鎮痛剤(コデイン含有)
これらはUAEでは厳しく規制されているため、持ち込みには医師の処方箋と診断書が必須です。また基本的には未開封・説明書付きのものを持ってきましょう。
持病がある・継続治療したい方
英文の診断書を作成
主治医に依頼し、病名、治療歴、現在の状態を記載(できれば英語の略語も含)したものを作成してもらいましょう。
薬のリストを作成
- 一般名(成分名)と商品名の両方(英語表記)
- 服用量と回数も記載
検査結果のコピー(過去6ヶ月〜1年分)
血液検査、画像検査など、PDFで保存してメールにも添付しておくと安心です。
よくある疑問
日本の保険は使える?
短期滞在の場合 日本の海外旅行保険でOK クレジットカード付帯の保険も利用可能 長期居住の場合 ドバイの医療保険加入が法律で義務なので、日本の健康保険は基本的に使えません。 帰国後に一部払い戻しを受けられることもありますが、ドバイの高額医療費には不十分なことが多いです。
救急車は無料?有料?
基本は有料です。 救急車利用は有人搬送(Ambulance)として請求されます。 民間保険にカバーされていれば費用負担は少なくできます。
ワクチン・予防接種はどうなっている?
ドバイでは 各種予防接種が受けられます。 子どもの定期接種の他、インフルエンザなども接種可能です。
歯科は保険適応?
治療費が高いドバイですが、多くの基本プランは歯科が含まれていません。含まれていても年間上限が低い場合が多いので、不安な方は歯科専用の保険オプションに加入をオススメします。親知らずを抜くことや、虫歯治療など、大きな治療は日本で済ませてから渡航すると安心です。
出産については?
実は里帰りせずにドバイで出産する方も増えています。出産がカバーされる保険プランは限定的で、加入時に妊娠していると適用外のこともあるので保険をしっかりチェックしましょう。Maternity Coverage付きのプランやオプションで追加できます。産婦人科についてはメディクリニック・ウェルケア・ホスピタル(Mediclinic Welcare Hospital)が最近の日本人妊婦さんに選ばれることが多いです。
まとめ
ドバイの医療制度は、日本の国民健康保険とは仕組みが違いますが、 高品質で安全な医療体制 が整っています。
- 適切な保険加入選択
- 病院利用の流れを理解する
- 緊急時の対応方法を知っておく
これらを押さえることで、ドバイ生活中の不安を大幅に減らすことができます。
医療保険や病院に関してだけでなく、ドバイ生活に関するご不明点やご質問がありましたら、いつでも下記ボタンよりお問い合わせください。