ドバイ生活を考える際に、必ず耳にするのが「ラマダン」という言葉です。
「断食の月」「日中は何も食べられない」「生活が不便になるのでは?」といったイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし実際にドバイで暮らしてみると、ラマダンは単なる宗教行事ではなく、街全体の空気が変わる特別な1か月です。文化を理解すればするほど、ドバイ生活の奥深さを感じられる時期でもあります。
この記事では、2026年の情報をもとに、ドバイのラマダンの基本から生活への影響、そして日本人としてどう向き合うのが良いかを詳しく解説します。

AYA
元エミレーツ航空CA。大学卒業後、PCサプライメーカーの営業職に就職。その後オーストラリアへワーホリ、フィリピン英語留学を経てエミレーツ航空CAへと転職。ドバイを拠点に世界中を飛び回る生活を7年、訪れた国は80カ国以上。現在は、生活情報の発信などを行っている。
ラマダン中って何してる?
ラマダンの基本知識
ラマダン(Ramadan)は、イスラム教における神聖な断食月です。イスラム暦に基づくため、毎年開始時期が変わります。
2026年のラマダンはすでに始まっており、2026年2月18日頃から3月20日頃までと予測されています(新月の観測によって正式決定)。
ラマダン中にイスラム教徒が行うこと
癒しや内省、成長のために時間が費やされます。この聖なる月の祝い方は実は国ごとに異なりますが、ドバイのラマダン中には、恵まれない人たちに施しを与え、日の出から日没までの断食、定期的なお祈り、慈善行為とつつましさが奨励されます。
毎日自分がいる場所の日の出や日没時刻を把握し、その時刻に合わせて食事やお祈りをします。
1. 日の出から日没までの断食(サウム)
ラマダン中、イスラム教徒は日の出(ファジュル礼拝の時間)から日没(マグリブ礼拝)まで、飲食・喫煙などを控えます。この断食は信仰を深め、自制心を養う大切な行為です。
2. イフタール(断食明けの食事)
日没後、まずは水やデーツ(ナツメヤシの実)で断食を終えるのが伝統的な習慣です。その後、家族や友人と一緒に夕食を取ります。この食事をイフタールと呼び、この時間は家族の絆を深める大切なひとときです。
3. スフール(夜明け前の食事)
夜明け前に「スフール」と呼ばれる食事を取り、1日の断食の始まりに備えます。消化の良い食事や水分をしっかり取ることが重要とされています。
4. 礼拝の強化
イスラム教では1日5回の礼拝がありますが、ラマダン中は特に夜の特別礼拝「タラウィー(Tarawih)」が行われます。
モスクでは多くの人が集まり、祈りを捧げます。
5. 慈善活動
- ザカート(義務的な喜捨)
- サダカ(自発的な寄付)
6. 自己反省と精神修養
断食は単に食事を控えるだけではありません。怒りや悪口、無駄な行動も慎み、心を清める期間とされています。
女性や子供、旅行中など各々の健康状態や生活状況に合わせて断食を行います。
例えばエミレーツ航空の飛行機内では、飛んでいる場所の日没に合わせて機長が機内アナウンスをして、イフタール時刻を乗客にお知らせします。そして断食をしていたお客様は「イフタールボックス」という断食後の消化に配慮した食事を受け取ります。
よく使われる挨拶
- 「寛大なるラマダンを」を意味する「Ramadan Kareen(ラマダン・カリーム)」
- 「ラマダンの祝福を」を意味する「Ramadan Mubarak(ラマダン・ムバラク)」
ラマダンは精神的な内省の時期であるため、「良い休暇を」などの挨拶は行いません。
ドバイでの過ごし方
非イスラム教徒はどうすればいい?
ドバイは国際都市です。住民の約9割が外国人であり、非イスラム教徒も多数暮らしています。
以前はショッピングモールの飲食エリアが完全に閉店していたり(日没後にオープン)、パーテーションでフードコートを隠すなど制限があったドバイも今では非イスラム教徒が日中に飲食することは禁止されていません。多くのレストランも通常営業しています。
「水を一口飲むだけでも問題になる?」
そういったことはなく、非イスラム教徒が水分補給をすることは問題ありません。ただし、公共の場で大きく飲食することは控え、周囲への配慮が求められます。
日中断食をしているイスラム教徒も、非ムスリムに対しても理解しており強制はしません。お互いを尊重するのが理想的です。ラマダンは規制の月というよりも思いやりの月と理解すると良いでしょう。
生活への影響は?
勤務時間は短縮
UAEではラマダン期間中、労働時間が法律により2時間短縮されます。これはイスラム教徒に限らず、原則すべての従業員が対象です。例えば通常9時〜18時勤務の企業では、ラマダン中は9時〜16時になるケースが多く見られます。政府機関ではさらに短縮されることもあります。
2026年に関してはこちらをご覧ください。
学校の時間も変更
インターナショナルスクールや現地校も短縮スケジュールになります。子どもがいるご家庭では、帰宅時間が早くなるため、アフタースクールの調整が必要です。
レストラン事情
以前は日中に閉まっている店舗も多くありましたが、現在のドバイではショッピングモール内の多くのレストランが営業しています。特にドバイモールやエミレーツモールなど大型モールでは通常通り営業する店舗が増えています。ただし、レストランでのアルコール提供は日没後に限定される店舗が一般的です。
夜は別世界になる
日没後、街は一気に活気づきます。家族や友人が集まりイフタール(日没後一番の食事)を楽しみます。ホテルやレストランでは豪華なイフタールビュッフェが開催され、特設テントが設けられることもあります。
これは非ムスリムも参加できますので、約1ヶ月しかないイフタールビュッフェをぜひ経験してみてください。
イフタール体験
多くのホテルでは豪華なイフタールが提供されます。特にラグジュアリーホテルでの体験は格別です。
- Atlantis The Palm
- Jumeirah Al Naseem
中東料理を中心に、伝統料理やさまざまな種類のデーツを味わうことができます。

また、イスラム教徒の方にイフタールやスフールに招待される場合もあるかもしれません。誰かのご自宅に招待されたら、お菓子のトレイやチョコレートの詰め合わせ、 デーツのギフトボックスやデザートを持参すると喜んでもらえることが多いでしょう。その他には家の装飾品や花束もおすすめです。
日本人にとってラマダンは大変?
デメリットと感じやすい点
- 日中はやや静かな雰囲気(特に旅行中は物足りないかも?)
- ビジネスの進行がゆっくりになる
- 夜型生活になりやすい
メリットも多い
- 労働時間が短い
- 渋滞が減る時間帯がある
- 文化理解が深まる
- 夜のイベントが豊富
- 観光地やホテルの割引があることもある
- ラマダン直後はセールやお祭り等がある
最後に
ラマダンは、ドバイ生活を理解するうえで欠かせない大切な1か月です。「不便そう」「規制が厳しそう」というイメージを持つ方もいますが、2026年現在のドバイでは、国際都市としての柔軟性とイスラム文化の尊重が共存しています。
むしろ、ラマダンを通して見える“思いやり”や“家族の絆”こそが、ドバイという街の本質なのかもしれません。
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